ネットの闇が起こした凄惨な事件
どうか魂が安らかになることを
願わずにいられない
3年もの時が経ち『死刑判決』を受けた加害者。
これに対し弁護側が
『白石被告はTwitter上で出会った自殺願望を抱く人々を殺害していたため、”被害者も同意したうえでの殺人”だったとし成立するのは承諾殺人の罪にとどまると主張し控訴』したニュースには皆怒りを覚えているのではないだろうか。
仕事だからなのか。裁判が続けば報酬が発生するからなのか。プライドとして負けられないからか。
これで控訴するという理論・理屈がどうしても分からない。
加害者にも人権はあるといえ、被害者、遺族の心情などはお構いなしということなのか。
この事件の時、私は当時を思い出す。
兄者もSNSで出会った人たちから、いろんな悩みや相談を受けていた時期と重なる。
兄者自身が学校で精神的に追い詰められていて、『そのことを忘れたかった』また
『誰かに必要とされたい』という思いが強かったこともある。
もちろん彼はまだ高校生。子どもである。
人生経験もなければ心理カウンセラーでもない。
そんなことが出来る立場でもなければ、対応するスキルさえない。
もっぱら『うん、うん』と聞くだけだったらしいが、それだけで良かったと。
中高生や働いている方、大人の女性の方も多く
学生は親との確執や不登校、友人とのいざこざばかりでなく
兄弟から性的な嫌がらせを受けている子もいたり
社会人は仕事への不満やパワハラ・モラハラなどに加え、独りでいることへの不安なども訴えてきたと聞いている。
なかには「生きることに疲れた」という人も。
こども相手にそこまで話す?とも思うし
実際どこまでが本当なんだろう、とさえ私は思ってしまうほどディープな相談内容も多かった。
男子高校生だから?
構ってほしかったから?
多少話を「盛って」いることもあったろう。
でも傷つき悩んでいる人が多かったのも事実だ。
だがあまりいい状況とは思えず、相談した先生からも
「友達ならいいけど、見知らぬ人っていうのはよくない。なるだけ早めに止めさせた方がいい」
またカウンセラーを専門としてる人からも
「相談をずっと受けていると、メンタル的にとても引きずられてしまう。それも不特定多数であればなおさら。ちゃんとした実習や訓練を受けないと危険だよ」と忠告された。
何度か止めるように話もしたが
「ただ話を聞いてあげてるだけだよ?それにみんな誰にも話せなくて、本当にきついんだよ。『おかげで仕事に行けるようになった』とか『なんとか頑張って行ってみる』とか言ってるのにここで消えたらその人たちどうなっちゃうの」
「分かるんだけども、あなたのことも心配なんだよ」
そういう私に「俺は大丈夫」と笑って答えてましたが
思わぬところからトラブルに発展していくことに。
ちょうど座間事件の報道後ということもあり、先方の怒りや不安も痛いほどわかった。
加害者はこんな風に、人の不安や悩みに付け込んでいったのだと思うから。
兄者は中学校の時も、女の子から相談を受けることが多いと先生からも聞いたことがあった。
雰囲気も柔らかく、ニコニコとしてるので話しやすいのだろう。
不登校の子が登校してきたときなどは、よく保健室で一緒に給食を食べたりもしていたらしい。
本人としては、その延長のつもりだったのだと思う。
『自分でなにか助けになれば』
『話を聞くだけで皆が喜んでくれるなら』
そんな単純な気持ちだった
だが世間はもっと残酷な人々がひしめいていた。
これを機に、兄者はSNSの繋がりを一切、絶った。
今はSNSの投稿などで、特定のワードが検出されると相談機関の案内が出ると聞く。
だが『命の相談』含め、受け入れ対応できる側が圧倒的に少ない。
スクールカウンセラーも私は疑問に感じるところも多い。
たまに来ても仕方ない。常駐しなければあまり意味はない。
「予約して来る」事自体が、ハードルが高いから。
それでもいないよりはマシだと思う。
職場にもカウンセラーがあれば少しは違うのではないだろうか。
そしてその内容を会社、特に上層部には漏洩しない。
労働条件、環境、勤務の在り方や社内の人間関係など
報告、改善できる別の機関があればと思う。
聞いてもらえるだけで、救われる。
寄り添ってもらえるだけで、思いとどまれることもある。
救える命もある向こうで
それを卑劣に利用しようとする悪意も限りないが
それでもやっぱり
一人で抱え込まないでほしいと思う。
同じように悩む人たちは、たくさんいるのだから